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第7話 運転免許が欲しい その1
 「免許が欲しい」確かこんなタイトルの映画が以前あったように思う。学生時代から、免許取得のために自動車教習所に通う友達を羨ましく思っていた。習いたいと思いつつも、何かと他のことに時間を取られてタイミングを逸してしまい、この歳になるとものすごくお金がかかると聞いてあきらめていた矢先に、コスタリカ行きが決まった。

  「フフフ、やっと来たわ。車の免許を取るチャンスが。」とにかく外国ならば、簡単に免許を取れると安易に考えていた私は、スペイン語の世界ということは二の次で、とにかく日本より格安に取れることだけを思い描き、コスタリカに行ったら絶対にすぐ運転の仕方を習おうと目標を立て、心ひそかに免許取得の筋書きを作っていったのです。

  が、しかし、現実はそう甘くはなかった。新車にかかる税金が100%(1995年当時)で、家賃も意外や高く、「引越し貧乏」という言葉があるように、旅行とは違い、家族全員が移り住むとなると、最初の1年間は家具、電化製品に始まり生活に必要なものや子供に関すること等で、とても車を購入する余裕など、金銭的にも精神的にもなかったのです。そして、逆に、心に余裕が出ていろいろ見えてくると、スペイン語がわからないと何も自分ではできないこともわかってきて、これはまず、スペイン語をある程度理解できるようになることが先だな、と思うようになったのです。そして、車を買い、実際に運転の練習ができる状態になったのは、なんと4年後の1999年8月でした。

  コスタリカでは、自動車教習所などというものはないので、まずは、電話帳のイエローページで運転の仕方を教えてくれる人を探して電話をしました。電話に出た相手は女性で、どうも教官を斡旋しているようなのです。たしか、8時間、10時間、12時間の3コースあり、初心者なので真中の10時間コースをとりあえず頼むことにし、24,000コロンと言われました。 初日に半額を支払い、後半に残金を払うシステムのようで、10時間習って8,500円程(日本円は書かない方がいい?)、よかった。さー、10時間後には実技の試験を受けて、今年中には免許取得だわ、とルンルン気分で初日の練習日が来るのを待ったのでした。

  この4年間、いろんなコスタリカ人に、「私はここで免許を取りたい」と言い続けてきましたが、一様に返ってくる答えは同じ「Facil −ファシル−簡単よ」 誰も免許を取得するにあたっての必要な「具体的手続き」というものを教えてくれませんでした。だから、ルンルンで迎えた初日に、しかも少し運転を始めてから、先生からわかりにくい発音で「ところで、Permiso ペルミソ(許可=仮免のことを指しているのですが、その時はわかるまで時間がかりました)を持っているか?」と聞かれた時は、聞き取りにくい先生のスペイン語が、ますますわかりにくくなり、目の前がクラクラして、心臓はドクドク鳴るし、体はガクガク。いったいこれから私は何をしなければいけないのだろうか。ラテンの迷路にさ迷いこんだ私は、途方にくれてしまったのでありました。

「ペルミソ(許可)とは一体、何?」―――――― つづく

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