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第20話 "? Con quien hablo?" ―――コン キエン アブロ?
 言葉がわからない者にとって、相手の顔が見えない電話は取るのも恐いものだ。コスタリカでは賃貸住宅の場合、家に電話(番号)がついている場合が多く、私達も国際電話ができる電話番号付という条件で家を探した。私達が借りた家は、それまでフィリピン人が住んでいたので、最初の数ヶ月は英語での間違い電話の方が多かったが、大して問題は無かった。

 ところが、しばらくして多少聞き取れるようになった頃、「Alo」と電話を取った途端、「? Con quien hablo ? 直訳―私は誰と話してるのかしら?」または 「? Quien habla ? 直訳―誰が話してるの?」しかし、実際に聞こえる語調はそれはそれはきつい感じがして、その語調を汲んで訳すと両方とも「あんた、誰?」とでも言われているよう。「は〜?自分から電話してきて、あんた誰?は無いんじゃないかしら。」と、間違い電話が多いこともあって、憤慨することしきり。

 確かに、スペイン語会話の本の「電話」という項目の所にはこの表現が載っていて、どちらも「どなたですか?」と訳されている。だから正しい表現なのだと思っても、いきなり「キエン アブラ〜?」と言われても、「はい、私はXXXです」とは言えない私。コスタリカ大学の外人向けスペイン語クラスの初級コース時代、やはりこの話題になった。フランス人、アメリカ人、そして台湾人、韓国人、私を含むアジア人全員声をそろえて、「そう、そう、自分から電話してきて、何処に電話しているのかわからないなんておかしい」また、「人の名前を聞く前に、まず、自分が名乗るべきじゃないのか」と、皆この言い回しにはホトホトまいった感じだった。でも、そのときの先生の説明は素晴らしかった。

 「コスタリカは大家族が多い。そこで、まず出た人に名前を聞いて、その後自分の名前を伝え、元気?と挨拶を交わし、その後、話したい相手を出してもらう」と。なんとものどかなやり取りである。もしかしたら、この挨拶にかなりの時間を費やすのでは。残念ながら、コスタリカ人とは一緒に住んだことが無いので、実際はどうなのかわからないが、時間に追われてご近所と挨拶も交わさなくなった所もあるこの時代、大事なひとコマなのかもしれない。また、「母が以前、電話してきた人がいきなり話したい相手の名前を言って、私に挨拶もしなかった、と怒っていた。」とも先生。一同、シーンと静まり返ったがすぐに、「でも、やはりおかしいよね。」と、コスタリカに来て間もない、スペイン語圏でない外国人である私達は、この電話の習慣の違いになかなか馴染めないでいた。

 今はそう聞いてくる相手には、「? Con quien desea hablar ?―――どなたと話したいのですか?」あるいは、「 ? De parte de quien ?―――どなたですか?」と逆に聞くようにしている。すると、話したい人の名前を言う人もいるが、いきなり「ガチャン!」と切られるケースも多い。6年もここに住んで、かなりラテンの生活習慣に慣れてきたのではと思うことも多いが、ぶっきらぼうに「キエン アブラ〜?」と電話口で言われると、未だに「ムカッ」としてしまう私は、まだまだ修行が足りないようです。

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