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「5時から男」
 劇場で映画を観なくなっていささか経つが、確か上映は「午前の部」、「午後の部」そして、「夜の部」があったと思う。映画だけでなく、演劇寄席なども同じ興行のようである。それぞれ入場料が違っていたかどうかは記憶にない。
  「午前の部」で裕次郎のスカッとしたのを観て出て来たとき、太陽が燦燦と輝いていたほうが裕次郎歩きには都合が良いが、新派を観てしっとりした気分の時はちょっと具合がわるい。やはり、これは「午後の部」もしくは、「夜の部」のほうが良い。

 会社勤めをしていたころのことである。この会社もご多分に漏れず始業前に社内でラジオ体操を行っていた。ラジオ体操の前には社歌が高らかになる。社歌を斉唱するのは音痴と自認しているので苦手であるが体操をするのは好きである。ただ子供の頃から体操をするのが好きなだけである。 わずか数分のラジオ体操でも見物していると十人十色が出てくるから面白い。昨夜、飲みすぎた人は頭に響かないように手だけを動かしている。運動嫌いな人はそれなりにである。アレッ、あの人は今日も二日酔いだと思って観察していると、その人、午前中はいやに静かであるが午後になると、どこから湧いて出てくるのか元気になる。終業時間の5時近くになると精神状態は「ハイ」なのである。一昨日、昨日、そして、今日と繰り返す「リピーター」である。誰からともなく「5時から男」の称号を奉られた。彼の行動がみんなから公認されたのである。エライと思う。
 コスタリカに来てもう数ヶ月すぎた。運動不足にならぬように散歩に出かける。行き先は近くのゴルフ場でコースに沿って歩く。散歩しない時はゴルフをプレーするときである。プレーの邪魔にならないようにとなると早朝か夕方の時間帯になってしまう。

 早起きは三文の得とばかりに早朝の散歩に早朝のゴルフとなる。朝が早い分だけどうしても夜も早くなる。朝早く夜遅いは2−3日だけである。赤道近くの当地での日の出は夏至時で5時15分頃、冬至時で5時50分ころである。この日の出に合わせて起きるわけではないが目が覚める。太陽が唯一の光源であった原始の頃の人が起きたであろうころに目が覚める。陽が昇るころ起き出す。毎朝のことだから、リピーターと言える。
つまり私は今「5時から男」なのである。ただ、「午前の部」である。

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