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第14話 そして、警察は来なかった −その1
 2月のとある金曜日の午後9時過ぎ、私はベッドの上で本を読んでいた。
と、突然、同時にガシャーンとパーンという音がしたかと思うと、自分の周りに大小さまざまな大きさのガラスが飛び散っていました。まるで、ポルターガイスト現象さながらの、上から電球でも割れて落ちてきたかと思うほどの衝撃を受けました。ガシャーンとパーンの音と同時にビックリした私は「きゃー!」と叫んでしまいましたが、自分の身に一体何が起きたのか把握するのには数秒かかりました。
 周囲にガラス、また右横わずか50センチほどの所に私の手のひら大の石があるとわかったと同時に、「石を投げられたー!」と叫ぶのがやっとでした。隣の部屋にいた主人も、私の声でなく、何とも表現できないガラスの割れる音にビックリして飛んできました。その時主人は、それがガラスの割れる音には聞こえなく、おっちょこちょいの私が高い上から何か割れ物を落として壊したと思ったそうです。我が家の隣は小さな公園。以前にも3回卵を投げられています。私たちの前にこの家 に住んでいた家族からも卵を投げられた被害を聞いていますが、ここにきてとうとう、石を投げられてしまった。とっさのことで、まずは警察に電話をしなくてはと、コスタリカ人からすぐ来てくれると聞いていた無線パトロールの「117」に電話をすると、「わかりました」と言う返事。次に500メートル程離れた所にいる大家に電話をすると、あいにく大家の年取った母親しかいなく、「私はもう寝る所だ。私には何もできない。娘は何時に帰るかわからない。携帯電話は持っていない。結婚して市内に住んでいる孫の電話番号も知らない。」(そんなバカな。この6月の選挙には国会議員に立候補するような彼女が携帯を持っていないなんて信じられない。かわいい孫の電話番号も教えたくないのだろう) 挙句の果てには「娘には何の責任も無い。ガラスは明日直すようにするから」と冷たくあしらわれてしまったのです。 別に責任のことを言っているのではなく、事件の現場と状況を見て欲しかっただけなのに・・。

 そうこうすると落着いてきて、ベッドやその回りに散らばったガラスの破片を見て、私が何も怪我をしなかった奇跡に改めてビックリ。座っていた所だけバリアーで覆われていたのかと思うほど、見事にガラスが無いのです。映画だったら飛んできたガラスが体中に突き刺さり、血だらけになって階段を這いつくばって降りていくのに。また、あと50センチほど右横に座っていたら、石の直撃を免れず、頭から血を見ていたかもしれません。これこそ、「神のご加護」「守護霊様がお守りくださった」というのかもしれません。多分、窓のブラインドが保護してくれ、ガラスの勢いを弱めたのかもしれません。ブラインドを開けている日中だったらどうだったでしょう?また、ベッドの上に石とほとんどのガラスが落ちたので、ベッドカバーの布によって、ガラスが弾まずに済んだのかも知れません。

 そんな事を考えているうちに、警察に電話をしてかれこれ30分は経っていました。「あれ、警察来ないじゃない」。その後、30分おきに今度は911番に電話をしたのですが、番号が違っても応答してくれたオペレーターは117番と同一人物。「117と同じところにかかるのですか?」と聞くと「そうです」何のために番号を分けているのか、実に不思議。
「まだ来ないのですが」
「それは問題だ。今日は金曜日でいろいろ事件があって混んでいるからかもしれない」とのたもうた。その前には「15分で行きます」とも言っていたけど。石を投げられた程度で警察は出動してくれないのかしら。 静かに夜は更けゆき、結局、警察は来なかった。

つづく

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