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「自然の中の出来事」
 とある日、知人から釣りに行こうと誘われた。行き先は「魚の島」と言う釣り人用のロッジ。このロッジはニカラグアに近いカリブ海側に位置する国立自然(ジャングル)公園の中にある。小型プロペラ機で40分ほど。3年ほど前から一般営業は中止しているが、テレビ会社の自然撮影には場所が良いのでと、その時だけ営業しているロッジ。そのロッジからモーターボートで海に出てターポンと言う1メートル50くらいの魚を釣ろうとの目論見。知人は100ポンドの魚を釣ると意気込んでいる。そんなにたやすく釣れるとは思えないので、「ポンド・100コロン払う。釣れなかったら100ポンド分、1万コロン頂く」と賭けた。結果は坊主で私の勝ち。
ロッジは川辺の湿地帯にあり、建物はすべて1メートルほどの高床式。それでも、98年10月のハリケーン・ミッチーのときには床上まで浸水したとのこと。

 熱帯湿地密林(Tropical Humid Jungle) なのでいろんな動植物がいる。
 部屋の前のバルコニーで見ているとバード・ウオッチャーには「ウヮー、ウヮー」の感嘆詞の連続となること請け合い。小さなのはブヨから裏川で見た1.5メートルほどのワニまで。このワニにコーネルと云う名前がついていると開高健氏の本にある。船付き場の水溜りにおたまじゃくしがピコピコ動いていたのでどんな蛙になるのかと想像して部屋の便所で肝を潰した。これまで、見たこともない脱色されたようなカエルが便器にへばりついていた。良く観察していると足に大きな吸盤がついている。ジャンプ力がこれまたものすごい。胴体長3センチにも満たないが6-70センチ、いや、1メートルほど飛んで壁にペタッと貼りついた。へばりついていた態勢から考えても飛んでいる間に月面宙返りをしていると思う。壁面の移動がこれまた早い。ヤモリかと思えるほど。便所のパイプを通って来るとのこと。知らないで座わりペコンと体当たりされたら気絶するよ。これが第一話。

 同行したサミーと言う歌手とバルコニーでギターを弾きながらいたら「蛇だ」とサミー。見たときはもう2-3メートル向こうへ動いていたのだが、後から聞いたところによれば、毒蛇であった可能性があるとのこと。どうもギターの中に居たのではとなった。これが第二話。

 第三話は日曜日の夜のことだが、食堂で毒ガエル毒蛇サソリの話が弾んだ。部屋に帰えるやいなや洗面用具衣類バッグをベッドに全部出して点検。それからもう一度しまい込んでチャックを閉めた。運動靴もベッドの上に乗せて寝た。日中からブンブンとの羽音が聞こえていたが外だったのであまり気にも止めずいた。翌朝、蒸し暑かったのでシャワーを浴びようと素っ裸になって洗面所のドアを開けたら、壁中が真っ黒になっている。一瞬「蜂」と感じドアを閉めた。このドアがよく閉まらないので一匹部屋へ進撃。慌てて身支度をして食堂へ避難した。昨日から羽音がしていたのは蜂で何処から侵入したのかわからない。カエルがでたとき、洗面所を丹念に見たのだが穴らしきものはなかった。(その後、パイプを伝って来ると聞いた)。すると、あの蜂群は何処から入って来たのか今もってわからない。

自然の中に来たのだからこんな事があっても不思議ではないのでしょう。しかし、人間なんて勝手なもので、自分は設備の整ったガラス箱に入り外を見ながら自然保護をと言う。 そのうち、自然をガラスで囲い自然保護を声高に言う時代がくるのでは。

三日いて毎日変わった事件?があった休暇でした。オシマイ。

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